AIを一度使ってみたほうがいい、という話は方々から聞こえてきます。ただ、いざ始めようとすると、まずパソコンの前に座って、何かを入れて、設定を済ませて、と段取りが頭に浮かぶ。そのうち月が変わっている。そういう話を、よく聞きます。実のところ、始めるのに要るのは机に向かう時間ではなく、いつも持ち歩いている電話の手元だけです。ここでは、合わせて一時間ほどで何をするかを、順に見ていきます。
まとまった時間を取ろうとするから、始まらない
経営者の一日を思い返すと、机に向かって落ち着いている時間は、案外わずかです。来客があり、電話が入り、現場から相談が来る。腰を据えて何かを試す時間を先に確保しようとすると、その日はなかなか来ません。
一時間といっても、続けて取る必要はありません。車で移動するあいだの十五分、人を待っているあいだの十分、夜に家で開く三十分。合わせて一時間になれば足ります。分けて使えるのは、手元の電話でやるからです。パソコンでやろうとすると、机に戻るまで何もできず、戻った頃には別の用事が待っている。まず、AIと話せる画面を一つ、電話に入れて開くところまで。ここまでで、たいてい五分もかかりません。
はじめの十五分は、話しかけて返事を見るだけ
開くと、白いところに一行書き込む欄があるだけです。何を書けばいいか分からない、という声をよく聞きますが、最初は仕事の話でなくて構いません。
たとえば、支払いが遅れている相手に催促を出すとき、きつくならない書き出しを三通り挙げてもらう。返ってきた文が長ければ「もっと短く」と返し、硬ければ「うちはこんな堅い言い方はしない」と返す。声でそのまま吹き込めますから、打ち込みが得意でなくても進みます。この十五分でつかむのは、答えの中身ではありません。注文を出せば直してくれる、というやり取りの感じのほうです。ここが分かると、次からは頼み方が変わります。
次の三十分で、今週止まった一件を渡す
一週間を思い返して、手が止まった書きものを一つ選びます。断りの返事、催しの案内、社内へのお知らせ、久しぶりの相手への礼状。選ぶなら、相手が決まっていて、伝えたい中身は自分の頭にあるものです。
渡す前に、自分で決めるところは決めておきます。誰に出すのか、受けるのか断るのか、いくらで、いつまでか。ここが決まらないまま渡すと、当たり障りのない文が返ってきて、直すほうに時間がかかります。決まっていれば、伝えるのは三行で足ります。「取引先から値引きの相談があった。今回は受けられない。ただ付き合いは続けたい。断りの文面を考えてほしい」。これに、自分が前に送った似た文を一つ見せると、言い回しがぐっと自社寄りになります。
残りの十五分で、出てきたものを見分ける
返ってきた文は、そのまま使えるところ、直すところ、捨てるところに分かれます。分けるだけで、この道具の性質が見えてきます。
とりわけ、名前と金額と日付、それに相手方の事情は、必ず自分の目で確かめてください。AIは、前回いくらで請けたかも、先方の担当者が春に代わったことも知りません。知らないまま、それらしい形に整えてしまいます。ここまでやると、任せられるのは言葉に整えるところまでで、決めるのは自分のほうだ、というあたりが腑に落ちます。
最後に、もう一つだけ。同じ場面がまた来たときに、もう一度開くことです。一度試して終わると、何も残りません。二度目からは、前と同じ頼み方をなぞればいいので、時間はずっと短くなります。
迷ったら
最初の一件に何を選ぶかは、商いの中身で変わります。文章を書く場面が多いのか、届いた数字を並べ直す手間のほうが重いのか、それとも段取りを人に伝えるところで止まっているのか。
御社の一日で、どこに手が止まっているか、いくつか聞かせていただければ、最初の一時間に何を渡してみるとよさそうか、一緒に考えます。
ご相談は初回無料です。何から手をつけるか決まっていない段階でもかまいません。
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