「AIで何ができるか分からない」という言葉を、よく聞きます。名前は知っている、便利だという話も耳にする。それでも、自分の会社の何に使えるのかが見えてこなくて、そのままになっている。これは特別に機械に疎いからではなく、多くの場合、聞き方そのものに理由があります。ここでは、その分からなさをどうほどいていけばいいかを、日々の仕事に沿って考えます。
「何ができるか」を聞いても、分からないままの理由
AIについて調べると、文章が書ける、要約ができる、絵も描ける、表も作れる、といった説明が次々に出てきます。ひとつひとつは確かにその通りなのですが、聞けば聞くほど、自分の会社の仕事とどうつながるのかが、かえって見えなくなっていくことがあります。
これは、聞いている側の理解が足りないからではありません。「AIに何ができるか」という問いは、答えがあまりに多いために、かえって絞り込めなくなる問いなのです。できることを並べた一覧をいくら眺めても、目の前の仕事のどれに当てはまるのかは、その一覧の中には書かれていません。
自分の一日の中で、手が止まっている場所を数える
分かりやすくするには、聞く先を変える必要があります。「AIに何ができるか」ではなく、「自分は今、何に手間取っているか」から考えるということです。
たとえば、朝いちばんに届いたメールを開いて、似たような返事を毎回一から打っている。届いた注文の内容を、台帳に手で書き写している。月末になると、請求書を一枚ずつ、数字を確かめながら作っている。こうした、決まった形はあるのに毎回手を動かしている作業を、まずは思い出してみます。
大きな仕事である必要はありません。むしろ、地味で、毎回同じことの繰り返しになっている作業のほうが、手がかりになります。
AIが得意な形に、当てはめてみる
手間取っている作業をいくつか思い出せたら、それをAIが得意な形に当てはめてみます。得意な形は、だいたい三つに絞れます。ひとつは、文章を作ったり整えたりすること。案内文の下書きや、言い回しの調整です。ふたつめは、すでにある文章をまとめること。長いメールのやり取りを短く整理する、といった作業です。みっつめは、同じ形の作業を繰り返すこと。決まった書式の文章を、毎回少しだけ内容を変えて作る、といった仕事です。
さきほど思い出した、手間取っている作業が、この三つのどれかに近いようであれば、それがAIを試してみる入り口になります。当てはまらないようであれば、無理に当てはめる必要はありません。分からないままにしておいていい部分も、ちゃんとあります。
一つだけ選んで、実際に試してみる
考えているだけでは、分からなさは消えません。当てはまりそうな作業がひとつ見つかったら、それだけを実際に試してみます。毎週書いているお客様への案内文を、下書きだけ作ってもらう。長く続いたメールのやり取りを、要約してもらう。ひとつの作業に絞って、実際の手元で試してみると、思ったより楽になるのか、それとも大して変わらないのかが、すぐに分かります。
試してみて合わなければ、そこでやめれば済む話です。大きな決めごとにする前に、小さく試せる形があるかどうかを、まず確かめてみてください。
迷ったら
「AIで何ができるか分からない」という迷いは、AIについて調べれば調べるほど、かえって深くなることがあります。ですが、実際にお話を伺うと、答えは会社の外にではなく、日々の仕事の中にあることがほとんどです。
御社の毎日の仕事の中で、いちばん手間がかかっている作業をひとつ聞かせていただければ、それがAIで試せるものかどうか、一緒に考えます。
ご相談は初回無料です。何から手をつけるか決まっていない段階でもかまいません。
お問い合わせへほかの記事Other posts
音声入力は思ったより仕事に使える
音声入力は昔試してやめた、という記憶のままの方が少なくありません。いまの聞き取りの様子と、仕事の中で向いている場面、話した言葉をAIで整えて使う手順を、日々の場面に沿って考えます。
読む →ChatGPTは無料のままでいいのか、有料に切り替える分かれ目
ChatGPTを無料版のまま使い続けてよいのか、それとも有料に切り替えたほうがよいのか。日々の使い方に照らしながら、切り替えの分かれ目をどこに置けばよいかを考えます。
読む →エクセルの限界を見分ける5つの兆候
エクセルが悪いのではありません。任せる仕事が育ちすぎたとき、表は静かに限界のサインを出します。現場でよく見かける5つの兆候と、当てはまったときの考え方を書きました。
読む →